JFS規格を取得された事業者の事例紹介インタビュー記事
ニップンのカイゼン活動がタイの工場でも食品安全文化の基盤に!(NIPPN (Thailand) Co., Ltd.様 / JFS-C規格取得)
JFS規格取得事例のご紹介として、JFS規格を実際に取得された事業者へのインタビューを公開中です。JFS規格取得に向けた取り組みの様⼦や取得後の効果についてお話し頂いております。
本記事は令和4年度農林水産省補助事業において制作されました。
NIPPN (Thailand)社様は、株式会社ニップンのタイ子会社として2006年に設立された後、ドーナツミックス・唐揚げミックスといった、製品の特徴・製法に合わせて材料を適正に配合した「プレミックス」の製造をメインに事業を拡大されています。事業所全体ではタイ人スタッフ150名・日本人スタッフ4名という体制で、工場運営が進められています。今回は、2022年12月にプレミックス製造のJFS-C規格認証を取得された背景について、松尾俊治マネージングディレクターとヌットシニアマネージャーにお話を伺いました。
──ニップングループ全体として、食の安全についてどのように取り組んでいらっしゃいますか。
松尾マネージングディレクター(以下松尾):当社の製品の多くはタイ国内で販売されていますが、販売された後、最終製品が日本などに輸出されることも多くありますので、タイだけではなく、プレミックス製品の最終消費国それぞれの法令にも適合するように、原材料規格の確認や使用自体の可否など慎重に調査しています。また、製造工程ではこれまで、FSSC 22000などの食品安全マネジメントシステムによる取り組みを通し、お客さまから信頼を高めるために改善活動を実施していましたが、JFS-C規格に取り組んだことで要求事項が明確になり、今後の改善活動の活性化につながると期待しています。
──英文で書かれた海外の規格(FSSC 22000)を理解するのと日本語(JFS規格)で理解するのとでは違いますか?
松尾:そうですね。若干ニュアンスが違うところもありますし、日本の規格のほうがすっきり、こちらのほうが理解しやすいというのはあります。海外の規格だと、これはどういう意味だろうと理解するために、いろいろ中身を調べなきゃいけないんですけれど、JFS-C規格は、そのまま読み込んで、そのままちゃんと入ってくるので、その辺りも非常にありがたいと思います。
──タイ人スタッフの方々には、日本人スタッフが規格について伝えている、と理解してよろしいでしょうか。
松尾:そうですね。まずは日本人スタッフがJFS-C規格について読み込んで理解して、それを丁寧に紐解いてタイ人スタッフに伝えています。当社は「食品安全第一」がスローガンなので、そこに妥協はありません。今回のJFS-C取得で「現場からの改善提案」がシステムに組み込まれ、スタッフ一人ひとりが積極的に関わるようになったと感じています。
──JFS-C規格の取得によって得られたメリットについて教えてください。
松尾:JFS-C規格での要求事項に、現場からの改善提案を活用する仕組みがあるため、当社で行う従来の改善活動と食品安全マネジメントシステムの一体感が増し、システムの向上につながっていると感じています。最終的に安心安全な商品をお届けし、お取引先様、消費者の皆様に「笑顔」が届けられればと思っています。
YANEE SUPATEVEEKITCHAROEN (ヌット)Quality Controlシニアマネージャー
YANEE SUPATEVEEKITCHAROEN (ヌット)Quality Controlシニアマネージャー(以下、ヌット):JFS-Cの導入により、全従業員からの改善意見や工場内のパトロールなど、改善活動を通じたトップマネジメントと従業員とのコミュニケーション・情報共有が向上したと思います。食品衛生の潜在的な課題を発見して是正を行うことができるようになりました。具体的には、FSM26「従業員からの改善提案の活用」を参照し、製品の食品安全に影響を与える問題について、従業員が共有する機会を提供しています。
松尾:タイでは、日本ブランドが本当に信頼されています。日本の食品安全マネジメントシステムの認証を取得したことは、タイのお客さまからも更なる信頼につながると期待しています。
──改善活動に関してですが、スタッフ全員が参加されているのでしょうか。
松尾:もちろん、改善活動には全従業員が参加していますが、月2回の活動会議にはマネージャー・スーパーバイザー・リーダークラスが参加しています。会議では、主に活動内容の報告と今後の改善について話し合っています。
──日本的な文化といえる「従業員からの改善提案」について、タイ現地で運用するにあたり、実施して良かった点、苦労した点などお聞かせください。
ヌット:日本的な文化である「改善」を実践する上でのポイントは、社員全員がこの活動に参加し、興味を持ち、協力し合いながらゴールを目指すことだと学びました。地道な取り組みや、どんな小さな提案でも受け入れるオープンマインドを養うことで、食品安全のレベルが向上していることを実感しています。
──今後のアジア圏内での事業展開について、どのようにお考えですか。
松尾:タイをはじめとするASEAN地域では、食の多様化が本当に急速に進んでいるように感じています。いいと思ったものはすぐ取り入れるなど、目まぐるしく変わっています。我々もスピードに対応し、さらにビジネスの拡大につながるようにしていきたいと思っています。日本食レストランもどんどん増えておりますし、チャンスが広がっているかなと。
また、タイはEU諸国とのつながりも深い所ですので、将来的にはそちらに向けた事業拡大も検討していきたいと思っています。その際にはJFS規格からもたらされる、世界で話題になっている食の安全に関する様々な情報も、非常に助けになってくると思っております。
──JFS-C規格取得を検討されている、企業様へのメッセージをお聞かせください。
松尾:食品の場合には食品安全というのが一番大事なテーマですので、これには労力を掛けていただきたいと思っております。
そんな中で食品安全のレベルを高めるのには、JFS-C規格とかJFS-B規格というのは非常に有効で、従業員の理解度も高まりますので、ぜひこういう規格を取得して、食品事業者にとって一番大切な食の安心安全に取り組んでいただければと思っています。
──本日はありがとうございました。
松尾:ありがとうございました。
こちらの企業様へのインタビュー動画を公開中です。是非ご覧ください。