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JFS規格を取得された事業者の事例紹介インタビュー記事

JFS規格による食品安全管理で信頼という新たな価値を!(株式会社シーボーン・ジャパン様 福岡支社/ JFS-B規格取得)

インタビュー記事 JFS-B規格

JFS規格取得事例のご紹介として、JFS規格を実際に取得された事業者へのインタビューを公開中です。JFS規格取得に向けた取り組みの様⼦や取得後の効果についてお話し頂いております。

本記事は農林水産省令和3年度補正予算補助事業におけるJFS規格取得促進のための情報発信活動事業の一環で制作しております。

株式会社シーボーン・ジャパン様は、滋賀県大津市に本社を構え、カナダ産水産物の輸入インポーター業務や水産品加工などを手掛けておられます。主にカナダからオマールエビを中心とした水産物を直輸入し、それらをホールセール(箱売り)と加工向けに分けた後、全国各地に出荷します。生き物に関しては生きたままの流通も可能なノウハウがあり、顧客の要望に応じて下処理・一次加工・二次加工まで行い、それを指定された温度で指定の場所まで配送する体制が構築されています。ホテルやレストランにも直輸入した商品を配送でき、配送の際に収穫量や価格変動に関する情報も合わせて伝達。問屋を介さずに販売することで、在庫のコントロールを行いつつ安価に商品を提供できることから、数多くの取引先が篤い信頼を寄せています。今回は、ビジネスをさらに進化・発展させるため、2022年にJFS-B規格適合証明を取得された株式会社シーボーン・ジャパン福岡支社様の取り組みについて、小澤祐司代表取締役社長・立石慎取締役管理部長兼業務部長にお話を伺いました。

──今回JFS-B規格適合証明を取得されましたが、その理由をお聞かせください。

小澤社長(以下小澤)
:きっかけはHACCP取得の義務化です。もともとは地方自治体のHACCPの中で、もっとも取得しやすい部類のものの取得を目指していたのですが、国で義務化の方針が決まったことで県独自のHACCPを持つ意味がなくなってしまった。そこで各方面に相談した結果、取引のあった銀行様の紹介でJFS-B規格適合証明を取得する運びとなりました。

──実際に取得してみて、どのような変化がありましたか。

小澤:商談のスタートラインが短くなりました。打ち合わせの段階で「福岡支社でJFS-B規格を取得している」と伝えると、衛生管理に関する確認をスルーして「何ができますか」という話になるので、おかげさまでお客様からは話が早くて助かるというお声をいただいています。

──具体的なメリットとしては、どのようなものがありますか?

小澤:当社ではJFS-B規格のほかにMSC認証(※)も取得していますが、MSC認証を取得した原材料を、JFS-B規格を取得している弊社の工場で加工するため、お客様への説明が楽になり、お客様に対してより付加価値のある加工品を作り込めるようになりました。その結果、「商品が高く売れる」というわけです。(規格取得が利益に直結というわけではないものの)JFS-B規格の取得によって、利益を出しやすい仕組みが社内に生まれたと実感しております。
※MSC認証:水産資源や環境に配慮し、適切に管理された持続可能な漁業に関する国際認証

──クライアント構築・取引先の評価といった面で、規格の説明で意識した部分はありますか?

小澤:輸入品というのは、基本的に原料なんですよね。角度を変えて見ると生鮮品になる。HACCPは結局のところ「加工品に関する管理手法」のことを指すので、説明にあたり順番が大事だなと。つまり、先ずMSC認証を取得したものを国内で流通させること。そして、その原料を「JFS-B規格を取得した当社で加工すること」が重要なんだという認識で、お取引先様には安全性についてお伝えしています。

──JFS-B規格適合証明を取得するにあたり、苦労されたことはありますか?

立石取締役(以下立石):当社でこれまで当たり前にやっていたことを、いかに文章化するか、という点では苦労しました。ガイダンスにのっとって文章化するわけですが、表現のレベルを精査しなければならないので。同じ作業にあたっているメンバーでも、それまで当たり前にやっていたけど、どうしても一人一人が思っているところがそれぞれで認識に違いがあったりして、そこから全体での意識の統一や社内周知をしていくことが苦労したと思います。ただ、その辺りの全体での意識を統一するところの再教育の過程で、最終的にはみんなの意識が一つになったことで、商品のクオリティが安定化したと思っております。

──現場にも変化は見えましたか。

立石:そうですね。人力でのチェックリスト運用はどうしてもミスが起こるので、データロガーを温度管理で導入して業務改善しました。安全管理の観点でJFS-B規格ガイドラインでも設備の点検の項目があり、再教育を行ったことで、どこを・なぜ点検すべきか、情報共有が徹底されてきていると感じます。

──JFS-B規格のガイドラインの印象についてはどうですか?

日本発の規格ということで、例えば海外の認証だと英語ベースで解読するのが難しい部分があったりしますが、JFS-Bのガイドラインは日本語ですごく分かりやすく書いてあったので、理解しやすく助かりました。

──将来の展望として、JFS-C規格認証の取得が目の前にあると思います。何か具体的な取り組みの予定はありますか。

小澤:現段階で輸出には至っていないのですが、当社ではBtoCの輸出製品を流通させたいと考えております。一般家庭の電子レンジ・オーブンで少し調理すれば食べられるような製品です。ベトナムからの輸入もスタートしているので、今後はベトナムの富裕層に「日本で素晴らしいものがある」ことをアピールしていきたいですね。
立石:BtoC・個人向けの輸出を本格的に進めるためには、やはりJFS-C規格認証の取得に向けて、現場の対応も変えていかなければなりません。注意すべき場所に関しても、もう一段階意識のレベルを上げる必要があるので、衛生・温度・安全管理にしっかり取り組んでまいります。

──これからJFS-B規格取得に向けて動いている企業様へのメッセージをお聞かせください。

小澤:当社は業界No.1ではなく「リーディングカンパニー」でありたいと考えていて、今後も同業者にとってメリットのある情報を共有していきたいと考えております。そのまま商品を売るのではなく、手を加えて適正な利益を出すために重要な規格がJFS-B規格という位置づけなので、食品製造業や輸入業者の皆様には積極的に取得を目指していただきたいと思います。

──本日はありがとうございました。